元気の素は天気から!

 天気によって古傷や関節が痛む (2008年1月25日掲載)
 私の友人に、何年も前に盲腸の手術をした人がいます。もうとっくに病気も治り、傷痕も何ともないはずなのに、その友人はこんなことを言います。
「昔の盲腸の古傷がチクチク痛みだしたので、あすは雨だな」
 この友人ばかりでなく、こうした類の言葉はしばしば耳にします。 病気で手術をしたことのある人や怪我をしたことのある人は、天気によって傷口が痛みだしたり、むずがゆくなったりする人がいるようです。 ですから、その様子によって、明日の天気がわかるというのです。

 同じように、リュウマチも天気に関係が深いようです。 慢性関節リュウマチにかかった患者の50〜60%の人が、気象の変化に伴って病状が変化します。 それも、暑くなる、寒くなるといった気候の変りばなに、症状の悪化がみられるのです(延永 正「生気象学の辞典」朝倉書店)。 このときに、気圧が下がり湿度が上がると症状が悪化し、この状態を持続すると症状は改善してきます(片山 康「生気象学の辞典」朝倉書店) 。

 リュウマチの患者ではなくても、関節炎の患者も同じように気象の影響を受けます。 たとえば、前線の通過時に関節痛が強くなるという人が多いようです。それも、寒冷前線なら通過後、温暖前線なら通過前に痛みが増すようです。

 関節炎の症状は季節によって、大きく変わってきます。 患者のうち「楽になる季節は夏」と答えた人が一番多く、およそ50%もいました。 次いで「秋」と答えた人が25%でした。 逆に「症状が悪化して嫌な季節は冬」と答えた人が45%、次が「梅雨」で20%でした(延永 正:生気象学の辞典A15・朝倉書店)。 これから見ると、寒い時・雨の時は、関節の病気を患っている人にとってはつらい時期といえるでしょう。

 気象と痛みに付いて多くの人達の認識をまとめて見ますと、 「雨の降る前」「暑くなる時や寒くなる前」「前線の通過時」「寒冷前線の通過後」「温暖前線の通過前」となります。 「雨の降る前」は「低気圧の通過前」「前線の通過前」に当たるでしょうし、その他も、温暖前線や寒冷前線の影響を受けるときといえます。

これらをまとめてみますと、痛みに影響を与える気象としては「低気圧を伴った気圧の谷」が近づいている時、
「東高西低」の気圧配置の時に痛みが増幅するといわれています。天気は西から変りますので、やはり雨の降る前に痛みが増すようです。


石川 勝敏 著 『天気を味方にして健康を作る本』より抜粋