元気の素は天気から!

 いい汗かこう! (2008年8月1日掲載)
 連日の厳しい暑さで、汗のひかない日々を過ごしている方も多いと思います。汗=不快なもの、として、敬遠されがちですが、実は、この「汗」は、私たちの体にとって、とても大切な役目を果たしているのです。

一つ目は、体温調節の働きです。人は、暑い時や運動した時に汗をかきますが、汗が蒸発する時に体の表面の熱を奪い、体温を下げてくれます。体の中にたまった老廃物や有害物質を、外へと排出するという体内の掃除役をしてくれるのも汗です。さらに、汗をかくことで毛細血管が拡張して、新陳代謝が活発になり、免疫力を高める効果も期待できます。

ところが、最近、汗をかけない日本人が増えていると言われています。原因は、生活環境の変化です。近年、エアコンの普及で、夏の暑い日でも空調の効いたオフィスや室内にいることが多くなりました。エアコンのお世話になる機会が増えると、汗で体温を調節する必要がなくなるため、汗が出にくくなってしまいます。また、人間が汗をかくために機能する能動汗腺と呼ばれる汗腺の数は、生後3年間に育つ環境で決まります。つまり、夏の暑い日、赤ちゃんのためにと冷房の効いた涼しい部屋で過ごしてばかりいると、能動汗腺の数が増えず、将来、汗をかけない大人に育ってしまうのです。汗をかけないと、体温調節がうまく出来ずに熱中症にかかりやすくなったり、ホルモンバランスが崩れたりと、色々な弊害も生じます。エアコンに頼り過ぎない、設定温度を見直す、などエアコンとの付き合い方を見直してみる必要がありそうです。

健康を保つためには、汗をかく習慣を身に付けることが大切です。まずは、定期的な運動です。ウォーキングやエアロビクス、ダンスなど、無理なく長い時間続けられるものがいいでしょう。ぬるめのお湯で半身浴も、大量の汗をかくことができるので、おすすめです。今、はやりの岩盤浴なども、いいですね。また、いい汗をかくため、食べ物にも気を使ってみてはいかがでしょうか。カレー粉や唐辛子などのスパイス類や、ねぎ、しょうがなどの香味野菜には発汗作用があるので、積極的に取り入れたいですね。もちろん、汗をかいた後は、水分補給をお忘れなく。

残暑の時期も含めると、まだまだ暑さは続きます。上手な汗のかき方を身につけて、少しでも気分良く過ごしましょう。

気象予報士 藤井南美