気温差5度は危険サイン (2007年11月9日掲載)
温度変化は身体に大きな負担を招きます。とくに、前日との気温差が大きい場合は、問題です。ここでは、気温差が大きい時に発症する恐れがある脳や心臓へのダメージについてお話してまいりましょう。
季節の変り目になると、最高気温や最低気温が前日と比べ大きく上下することがあります。たとえば、脳卒中や心臓病に関して注意を要するのは、寒くなりつつある時期に、前日に比べ急に最高気温が5度以上も下降した場合などです。
5度の差というのは、肌で明確に感じるほどの温度差であり、生体機能にかなりの負担がかかります。身体の機能というのは、寒いとか暑いとか体感するまでに、気温の変化から体温を守るため、体内の活動がかなり活発なります。健康な身体であれば、皮膚が外気温を感知し、脳に指令を送り、体温維持のための対応がスムーズに進みます。
実際には、5度の温度差に風や湿度が加わるため、身体活動はさらに激しくなります。生体機能だけで対応しきれない状態になると、暖かい飲みものを飲むとかクーラーのスイッチを入れて身体を冷やすなど、行動で温度の調節をするようになります。そして、身体は季節の移り変りに合わせて、徐々に寒さや暑さに馴れていきます。
しかし、暑さ寒さに馴れきらないうちに5度ほどの急激な気温の上下が頻発すると、脳卒中や心臓発作が発症しやすくなります。ですから、最高気温が前日に比べて5度以上の低下または上昇がある場合、「脳卒中注意報」「脳梗塞注意報」「心臓発作注意報」が出たものととらえる必要があります。
温度差は、前日との比較ばかりでなく、その日一日でも朝と晩では大きく異なる場合があります。また、移動する場所によって異なる場合があります。
家の中では、まず居間を出たときの室温の急変に注意が必要です。寒さが厳しい時期に、居間だけ暖房が効いていて、寒いトイレや風呂に行った場合には、大変に危険です。冬に暖房が効いている居間と、暖房のない北向きのトイレでは、10度以上も温度が違うという場合も結構あったりするほどです。
また、当日の最高気温と最低気温との差(日較差)が大きく開くことがあります。日中は暖かかったのに、夕方になると急に冷え込み、差が10度近くになる場合もあります。こうした変化は、季節の変わり目には頻繁に起きます。
これらの急激な温度変化が、発作爆発の引き金になるのです。このときに、それぞれの病気には、他の病気とは異なった下記のような特徴があります。
・脳梗塞の場合
1.朝方は寒かったけれども午後急に気温が上昇するような日が危ない。しかも、高温多湿のときに多く発症。
2.脳梗塞は暖かい日に増加し、雨の日は、増減に関係ない。
3.脳梗塞は高温多湿の日に多く発症する。
4.脳梗塞は就寝中の発生が40%。
・脳卒中の場合
1.最も死亡率の高いのは、平均気温0度前後、日較差8〜10度であるような日。
(籾山正子ら 日生気誌24−1987)
2.脳溢血は寒い日に増加し、雨の日に減少する。
3.脳溢血の最も発症の多い日は気温0度前後
4.脳溢血は仕事中、食事中、用便中、入浴中などの活動中に発生が60%。
5.脳卒中の好発時刻は、午前6時〜正午。
一般には、 高齢者ほど夕方に血圧が高くなる人が多くなり、60歳以上の40%以上は夜間血圧上昇型であるといわれています。(参書文献: 矢永尚士「生気象学の辞典」日本生気象学会編 朝倉書店、 田村康二病気の時刻表」青春出版社、ほか)
もちろん、これらの気象変化だけがすべての原因ではありません。そこに至るまでの生活行動と関連づけてとらえる必要があります。たとえば、「脳溢血は寒い日に増加する」のですが、その場合においても着ていたものや運動量や睡眠の状況、居室の温度、暖房器具の種類や使用状況等々が大きく影響します。気象の状況と生活行動との相互の関連が強く影響し、脳溢血が増加すると考えられます。
ですから、前日との最高気温の上下が5度以上である場合は、上記のような状況の変化に注意し、日常生活の行動と対応に気をつける必要があるというわけです。
季節の変り目になると、最高気温や最低気温が前日と比べ大きく上下することがあります。たとえば、脳卒中や心臓病に関して注意を要するのは、寒くなりつつある時期に、前日に比べ急に最高気温が5度以上も下降した場合などです。
5度の差というのは、肌で明確に感じるほどの温度差であり、生体機能にかなりの負担がかかります。身体の機能というのは、寒いとか暑いとか体感するまでに、気温の変化から体温を守るため、体内の活動がかなり活発なります。健康な身体であれば、皮膚が外気温を感知し、脳に指令を送り、体温維持のための対応がスムーズに進みます。
実際には、5度の温度差に風や湿度が加わるため、身体活動はさらに激しくなります。生体機能だけで対応しきれない状態になると、暖かい飲みものを飲むとかクーラーのスイッチを入れて身体を冷やすなど、行動で温度の調節をするようになります。そして、身体は季節の移り変りに合わせて、徐々に寒さや暑さに馴れていきます。
しかし、暑さ寒さに馴れきらないうちに5度ほどの急激な気温の上下が頻発すると、脳卒中や心臓発作が発症しやすくなります。ですから、最高気温が前日に比べて5度以上の低下または上昇がある場合、「脳卒中注意報」「脳梗塞注意報」「心臓発作注意報」が出たものととらえる必要があります。
温度差は、前日との比較ばかりでなく、その日一日でも朝と晩では大きく異なる場合があります。また、移動する場所によって異なる場合があります。
家の中では、まず居間を出たときの室温の急変に注意が必要です。寒さが厳しい時期に、居間だけ暖房が効いていて、寒いトイレや風呂に行った場合には、大変に危険です。冬に暖房が効いている居間と、暖房のない北向きのトイレでは、10度以上も温度が違うという場合も結構あったりするほどです。
また、当日の最高気温と最低気温との差(日較差)が大きく開くことがあります。日中は暖かかったのに、夕方になると急に冷え込み、差が10度近くになる場合もあります。こうした変化は、季節の変わり目には頻繁に起きます。
これらの急激な温度変化が、発作爆発の引き金になるのです。このときに、それぞれの病気には、他の病気とは異なった下記のような特徴があります。
・脳梗塞の場合
1.朝方は寒かったけれども午後急に気温が上昇するような日が危ない。しかも、高温多湿のときに多く発症。
2.脳梗塞は暖かい日に増加し、雨の日は、増減に関係ない。
3.脳梗塞は高温多湿の日に多く発症する。
4.脳梗塞は就寝中の発生が40%。
・脳卒中の場合
1.最も死亡率の高いのは、平均気温0度前後、日較差8〜10度であるような日。
(籾山正子ら 日生気誌24−1987)
2.脳溢血は寒い日に増加し、雨の日に減少する。
3.脳溢血の最も発症の多い日は気温0度前後
4.脳溢血は仕事中、食事中、用便中、入浴中などの活動中に発生が60%。
5.脳卒中の好発時刻は、午前6時〜正午。
一般には、 高齢者ほど夕方に血圧が高くなる人が多くなり、60歳以上の40%以上は夜間血圧上昇型であるといわれています。(参書文献: 矢永尚士「生気象学の辞典」日本生気象学会編 朝倉書店、 田村康二病気の時刻表」青春出版社、ほか)
もちろん、これらの気象変化だけがすべての原因ではありません。そこに至るまでの生活行動と関連づけてとらえる必要があります。たとえば、「脳溢血は寒い日に増加する」のですが、その場合においても着ていたものや運動量や睡眠の状況、居室の温度、暖房器具の種類や使用状況等々が大きく影響します。気象の状況と生活行動との相互の関連が強く影響し、脳溢血が増加すると考えられます。
ですから、前日との最高気温の上下が5度以上である場合は、上記のような状況の変化に注意し、日常生活の行動と対応に気をつける必要があるというわけです。
石川 勝敏 著 『天気を味方にして健康を作る本』より抜粋